プログラム/講師紹介

プログラム

6日間・全10回のレクチャーや現場訪問を通じて現代アートについてのリアルな知見を深め、自身のスキルや経験を活かしてアート領域との新たな協働の可能性を探ります。最終回では「わたしのスキルをアートと接続するためのアイデア」を発表します。

1日目

2026年9月5日(土)13:00-17:00

第1回レクチャー なぜアートは社会に必要なのか
  • 講師藪前知⼦(キュレーター、東京都現代美術館学芸員、武蔵野美術大学客員教授)
  • テーマ美術史、アート界全般
  • 時間13:00-14:20
  • 場所アーツカウンシル東京

アートの歴史的作品や重要事例を辿りながら、「なぜアートは社会に必要なのか」という問いを考えます。社会情勢に大きな影響を受ける海外の最新動向も踏まえて、表現を社会につなぐ役割にとって必要な態度や知識についても理解を深めます。

第2回レクチャー 仕事・生活・アートの『つながり』を発見する
  • 講師ロジャー・マクドナルド(特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]/フェンバーガーハウス館長/多津衛民藝館館長)
  • テーマ気候危機、福祉、⺠藝等
  • 時間14:30-15:50
  • 場所アーツカウンシル東京

美術館やギャラリーで鑑賞するアートに限らず、常に⼈類の⽣活と共にある表現や草の根的な活動について学びます。芸術をより広く捉えながら、地球や人間以外の存在にも想像力を広げることで、自分と芸術の接点について再考します。

2日目

2026年9月12日(土)13:00-16:30

第3回現場訪問 アートの定義を広げる美術館の試み
  • 講師神谷幸江(国立新美術館学芸課長)+ 国立新美術館チーム
  • テーマ美術館の仕事見学、ビジネス領域との接続
  • 時間13:00-15:30
  • 場所国立新美術館

パブロ・ピカソの作品を、美術史からの視点だけではなく、ポール・スミスという“ビジネスの現場にいるクリエイター”の視点から再解釈し、アートの定義を広げる試みとなる本展について深く知ることで、アートとビジネスの接続を具体的に考えます。また美術館の現場で、アートの定義を広げ、教育・協働の関係を個人からビジネス領域へも広げる試みを行う現場に触れます。同館の学芸課研究員、および美術館とビジネス領域を接続する事業担当者の複合的レクチャーにより、アートの現場で必要とされるスキルや⽀援、ビジネス領域の意図との接続の課題を学びます。

3日目

2026年10月10日(土)13:00-16:30

第4回レクチャー ビジネスサイドから捉えるアートのエコシステム概観
  • 講師寄本健(東急株式会社 文化・エンターテインメント事業部 アート&カルチャー事業担当課長)
  • テーマアートのエコシステムのマッピング、企業プロジェクトの接点
  • 時間13:00-14:20
  • 場所アーツカウンシル東京

美術館・ギャラリー・芸術祭・アートフェア・教育・地域の関係性と、そこに企業がどう接続できるのかなど、ビジネスとアートのタッチポイントを考察します。また、「企業が行うべきではない介入」についても考えます。

第5回レクチャー あなたのビジネススキル(専門知)+アートで、新たなフィールドを想像しよう
  • 講師菊地望(感性響奏プランナー)
  • テーマ企業とアートの協働事例、⾃⼰スキルの応⽤
  • 時間14:30-15:50
  • 場所アーツカウンシル東京

美術館と企業の協働事例を通し、企業内部を説得する際のヒントを学びます。また、受講⽣⾃⾝がこれまで培ってきたビジネススキル(専⾨知)を応⽤しながらアートを取り⼊れた新たな領域を探究します。

4日目

2026年10月24日(土)13:00-16:30

第6回現場訪問 関心を耕すアート広報
  • 講師市川靖⼦(株式会社いろいろ代表取締役)
  • テーマアートの現場を知る、新しい仕事を⽣む視点を養う
  • 時間13:00-16:00
  • 場所東京オペラシティ アートギャラリー、アーツカウンシル東京

展覧会広報について考えるワークシートをもとに、グループで展覧会を鑑賞します。鑑賞後は、ワークシートをもとに気づきや分析内容を整理し、グループごとに発表を行います。その後、美術館・アートイベントの広報に関するレクチャーを聞き、発表内容についてフィードバックを受けます。

5日目

2026年11月21日(土)13:00-16:30

第7回レクチャー 今、アート界に必要とされるスキルと、今後より重要になっていく役割について
  • 講師三木あき子(直島新美術館館長/ベネッセアートサイト直島インターナショナル・アーティスティック・ディレクター)
  • テーマアート界に必要なスキル、アートと社会をつなぐ役割
  • 時間13:00-14:20
  • 場所アーツカウンシル東京

国内外の美術館や企画展、国際芸術祭等の事例を通し、今、日本のアート界に必要とされるスキルについて考えます。アーティスト、行政、企業、地域コミュニティなど、多様な主体が関わるアートプロジェクトでは、専門性や運営能力だけでなく、異なる立場や価値観をつなぎながら新たな関係性や協働を生み出していくスキルがますます重要になっています。また、社会や文化を取り巻く環境の急激な変化に伴い、アートと社会を結ぶ存在は今後より重要になっていくと思われます。日本をはじめヨーロッパやアジアの実践、および国際展の具体的な事例を通し、こうした役割の重要性について考えます。

第8回 プレ発表
  • ファシリテーター特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]、寄本健(東急株式会社 文化・エンターテインメント事業部 アート&カルチャー事業担当課長)
  • 時間14:30-16:30
  • 場所アーツカウンシル東京

最終発表に向けたプレ発表として、構想中のアイデアや提案内容をスライド5枚程度にまとめ、各グループまたは個人で発表を行います。発表後は、ビジネスとアート双方の視点からファシリテーターによる講評とフィードバックを受け、アイデアの独自性や社会的意義などを再検討しながら、提案内容のブラッシュアップを図ります。

その後のディスカッションでは、プレ発表で得たフィードバックをもとに、グループまたは個人で意見交換を行い、構想をより具体的な内容へと落とし込みます。最終発表に向けて、アイデアを整理し、提案の精度を高めていきます。

6日目

2026年12月12日(土)13:00-17:00

第9回 最終発表
  • ファシリテーター特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]、寄本健(東急株式会社 文化・エンターテインメント事業部 アート&カルチャー事業担当課長)
  • 講師神⾕幸江(国立新美術館学芸課長)、菊地望(感性響奏プランナー)、市川靖⼦(株式会社いろいろ代表取締役)
  • 時間13:00-15:00
  • 場所アーツカウンシル東京

グループまたは個人により「わたしのスキルをアートと接続するためのアイデア」の最終発表を実施します。実現可能性そのものを重視するのではなく、アートをどのように読み解き、アーティストや専門家と関わりながら、どのような新しいアートの仕事やプロジェクトを生み出したいと考えているのか、その構想や視点を共有する場とします。受講⽣同⼠の質疑応答のほか、ファシリテーターや講師からの講評を⾏います。

第10回 クロージングセッション
  • ファシリテーター特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]、寄本健(東急株式会社 文化・エンターテインメント事業部 アート&カルチャー事業担当課長)
  • 講師神⾕幸江(国立新美術館学芸課長)、菊地望(感性響奏プランナー)、市川靖⼦(株式会社いろいろ代表取締役)
  • 時間15:10-17:00
  • 場所アーツカウンシル東京

最終発表で受けた講評をもとに、グループもしくは個人でネクストステップや今後の展開について話し合い、講座修了後の継続的な活動や協働につながる基盤づくりの場とします。また、講座全体を通して得た学びや気づきを共有しながら、各グループによる振り返りとディスカッションを行い、それぞれの実践や関心を今後どのように発展させていくかを考える機会とします。

プログラム内容は変更になる場合があります。予めご了承ください。

講師紹介

(敬称略、登壇順)

ビジネスとアートそれぞれの第一線で活躍している講師陣が社会、ビジネス、気候変動、福祉、民藝など、美術館や文化事業の現場にかかる様々な観点から専門的なレクチャーを行います。

講師

藪前 知子

Tomoko Yabumae

キュレーター、東京都現代美術館学芸員、武蔵野美術大学客員教授。東京都現代美術館ではこれまで、大竹伸朗、山口小夜子、石岡瑛子、クリスチャン・マークレー、岡﨑乾二郎らの個展のほか、「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」(2015)、「日本現代美術私観 高橋龍太郎コレクション」(2024)など、現代美術からファッション、デザイン、音楽を横断する展覧会を企画。「札幌国際芸術祭2017」、「αMプロジェクト 東京計画2019」、「APK Public vol.2 未完の都市」などの外部キュレーションのほか、雑誌・ウェブ等に近現代美術、音楽、ファッション、映画等幅広い分野についての寄稿多数。

講師

ロジャー・マクドナルド

Roger McDonald

特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]/フェンバーガーハウス館長/多津衛民藝館館長。東京生まれ。国際政治学(学士)、神秘宗教学(修士)、博士課程で『アウトサイダー・アート』(1972)の執筆者ロジャー・カーディナルに師事し美術史を学ぶ。1998年よりインディペンデント・キュレーターとして活動。「横浜トリエンナーレ2001」アシスタント・キュレーター、「シンガポール・ビエンナーレ 2006」キュレーター等。2013年に長野県佐久市に移住後、実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」をオープンし館長を務める。2018年から気候危機に関する研究を開始し、2019年、望月地域にて市民運動グループ「MOACA」設立。気候危機や「適応」に関するレクチャーとディスカッションを開催。信州アーツカウンシルアドバイザー。2024年より「平和と手仕事 多津衛民藝館」館長。主な著書に『DEEP LOOKING(ディープ・ルッキング)想像力を蘇らせる深い観察のガイド』(2022、AIT Press)。

講師

神谷 幸江

Yukie Kamiya

国立新美術館学芸課長。ジャパン・ソサエティー(ニューヨーク)ギャラリー・ディレクター、広島市現代美術館学芸担当課長、ニューミュージアム(ニューヨーク)アソシエイト・キュレーターを歴任。2025年より現職。「第12回上海ビエンナーレ」(2018-2019)共同キュレーターを務めたほか、国内外で日本・アジアと他地域、異分野を横断する展覧会を手がける。現在National Museum of Women in the Arts(ワシントンD.C.)での「Women to Watch 2027展」コンサルティング・キュレーターも担う。

ファシリテーター/講師

寄本 健

Ken Yorimoto

東急株式会社 文化・エンターテインメント事業部 アート&カルチャー事業担当課長。1999年 東京急行電鉄㈱(現:東急㈱)入社。ホテル事業マーケティング、沿線エリア戦略策定、学童保育事業立ち上げ、東横線副都心線相互直通プロジェクトに携わったのち、2013年に㈱東急文化村に出向。2018年より渋谷開発事業部にて、エリアマネジメントやブランディング、地域連携など、渋谷再開発におけるソフト面を担当。2019年にエンターテインメント専門部署の立ち上げに参画し、2024年より現職。

講師

菊地 望

Nozomi Kikuchi

感性響奏プランナー。2025 年12月まで株式会社野村総合研究所に30年勤務。うち約20年は人材育成領域を専任し、研修設計から人材開発制度の構築まで幅広く担当。組織の成長は「人」が起点という信念のもと、時代の潮流を捉えた新しい能力開発を探求。AIの台頭により求められる能力が変化する中、これからの時代に必要な「感性」の開発に着目。人の感性を豊かにするための手段として、芸術に触れる機会をあらゆる側面から提供する企画・戦略の立案を得意とする。

講師

市川 靖子

Yasuko Ichikawa

東京を拠点に、美術分野に特化したPR会社いろいろ代表。美術館、芸術祭、アートフェア、自治体文化事業などにおいて、広報戦略立案、メディアリレーション、企画運営支援を手がける。国内外のアートプロジェクトに幅広く携わり、展覧会や文化事業の価値を社会へ伝える広報を実践。アートと社会をつなぐコミュニケーションを専門とする。最近の仕事に国際芸術祭あいち、東京オペラシティアートギャラリー、KYOTOGRAPHIE、ART POWER KYOBASHI、「Bloomberg Connects(ブルームバーグ・コネクツ)」アプリのPR など。

講師

三木 あき子

Akiko Miki

直島新美術館館長/ベネッセアートサイト直島インターナショナル・アーティスティック・ディレクター。パレ・ド・トーキョー(パリ)チーフ&シニア・キュレーター(2000-2014)、横浜トリエンナーレ(2011 芸術監督、2017共同監督)等を歴任。台北ビエンナーレ(1998)、バンコクアートビエンナーレ(2024)、国際美術展TOKYO ATLAS(2026)等の国際展や、バービカンアートギャラリー(ロンドン)、台北市立美術館、韓国国立現代美術館、森美術館、横浜美術館、京都市京セラ美術館等各国主要美術館にて数々の企画を手掛ける。また、弘前れんが倉庫美術館等多くの美術館の立ち上げも担う。

ファシリテーター

特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]

Arts Initiative Tokyo

現代アートと視覚文化を考えるための場作りを目的として、2001年に設立したNPO法人。個人や企業、財団あるいは行政と連携しながら、現代アートの複雑さや多様さ、驚きや楽しみを伝え、それらの背景にある文化について話し合う場を、様々なプログラムをとおして創り出している。https://www.a-i-t.net/